2010年

JSDカンファレンス2010 開催案内

 

開催期日:2010年4月24日(土) 13時~17時30分

開催場所:学習院大学 南3号館-104教室

http://www.gakushuin.ac.jp/mejiro.html

地図上にカーソルを持っていくと建物の一覧が表示されます。

中央のグラウンドの右側の小さな建物です。

主題  “混迷する社会の進路を切拓く”

 

参加申込:以下の情報をお送り下さい。

①名前 ②メールアドレス ③所属(会社名等) ④〒 ⑤JSD会員/非会員

送り先 jsd-conference@yahoogroups.jp

13:00 森田道也(JSD会長・学習院大学)

JSDカンファレンス2010 開会の挨拶

13:10 山下隆之(静岡大学)

地域マクロ経済のSDシミュレーション

本研究は、都道府県の総合計画等で利用可能な、人口と経済の将来予測の定量的把握の方法を提案するものである。

日本経済において人口減少社会の到来が明らかになったことから、その経済成長への影響が懸念されている。

かねてより基盤産業での高齢化や過疎化の問題が顕在していた地方経済では、これが一層深刻に捉えられている。

筆者は、1975年度~2002年度の統計データから構築されたシステムダイナミックス・モデルを用いて、静岡県における「2007年問題」の具体的な影響を明らかにした(山下[2007]※)。

本報告では、2007年国勢調査の結果を踏まえ、将来推計の精度を高めたモデルを提案する。

※山下隆之[2007]、「人口減少社会の地域マクロ経済モデル―静岡県経済のシミュレーション―」『経済政策ジャーナル』第4巻第2号、pp.67-70。

13:40 明神 知(株式会社 オージス総研)

モデルベースIT投資マネジメントによる百年アーキテクチャ構築

~システムダイナミックスによるIT投資マネジメント構造分析~

金融危機で大きな影響を受けた日本でも経営に貢献する戦略的なIT投資は、経営革新を生みだすドライバーとしても期待され、喫緊の課題である。

IT投資はIT単独で投資しても効果は薄く、ITを有効活用できる組織や文化が確立していないと経営に貢献するに至らないことが実証されている。

また、多くの先進企業調査からITアーキテクチャの成熟度をステップを踏んで高めないとITを使いこなせないことが明らかになっている。

筆者らはIT投資を百年スパンで考え、しっかりシンプルに作って使い続けるITを「百年アーキテクチャ」と銘打ち、ITガバナンスや業務システム基盤整備など各種サービスを提供している。

本論文では経営に貢献する「百年アーキテクチャ」構築プロセスの内部構造を、システム・ダイナミックスによって明らかにするとともにモデルベースIT投資マネジメントによって着実に構築していくプロセスを提案する。

14:10 Jose A. D. Machuca (The University of Seville)

森田道也(学習院大学)

特別セッション(Special Session) :SDで壁を超える(Beyond the wall by System Dynamics)

行政、企業経営における諸問題の原因の有力なものとして、「壁」の存在がある。国、省庁、地域、行政、職能、事業部、人々のグループなどの間にある壁が問題の背後に横たわる。

Ford社がかつて、日本の自動車会社との競争力格差の原因の一つに、当社の従来からの「(異なる部門や職能の)壁越しの仕事の引き継ぎ」(Over-the-wall policy)を挙げた。

しかし、当社が競争力格差を完全に払しょくするようにその問題を解決できたという兆しをいまだ認めがたい。

本セッションでは、この壁を超えてより成果の高い問題解決を実践するために、システムダイナミックスの可能性を考える。

最初にセッション・リーダーからの若干の導入プレゼンテーション後、参加者からの討議をもとに当セッションを進める。

14:55-15:05 休憩

15:05 小川貴史(筑波大学大学院)

システムダイナミックスによるDRAM市場における周期的変動の考察

~モデル構築と基本メカニズム~

DRAM(Dynamic Random Access Memory)市場のおける周期的変動は「シリコンサイクル」の主因として古くから知られているが、未だに、そのメカニズムの定量的理解が不十分であり、未解決の産業課題となっている。

今回、システムダイナミックスによるメカニズム理解への新たなアプローチとして、Meadows, Stermanらにより提唱されているCommodity Production Modelをベースに、DRAM市場特有の学習曲線効果による歩留まり向上及び価格下降をモデル化したDRAM市場モデルの構築を行った。

本研究では、周期的変動の基本メカニズムを検討することを目的として、過去23年間に観測された市場データとモデルシミュレーション結果との比較を行い、テクノロジーシフトを伴う需要変動に対して、遅延効果により生じる需給ギャップの挙動及び価格変動の考察等を報告する。

15:35 小池昇司((社)中小企業支援協議会)

企業の財務会計情報の流れのSDモデルと企業価値を上げる経営改善への活用

グローバル化、超高齢化社会、環境制約と資源制約の影響が更に顕在化するこれからの混迷する社会の中では、企業は今こそ未来会計(管理会計)による経営にしっかりした視座を持つことが必要である。

類推や直感力だけではこころもとない。

そこで、企業の財務会計情報の流れをSDによりモデル化し、企業価値向上に活用するひとつの方法を提案する。

まず、財務諸表のデータをもとにして個別企業の財務会計モデルを作る。金融機関等からのファイナンスによる資金が資本として投資され、営業のための資産として営業活動に投入されて、キャッシュフローを生み、資本として回転(フィードバック)しつつ業績が遷移していく。

営業活動の成果や投資活動の成果が出るまでにはさまざまな遅れを伴い、またその効果・増幅率もさまざまであり、複雑な挙動をみせる。このような複雑な経営システムをSDモデル化して考察することにより、財務会計情報を税務署向けや決算用のみならず経営管理に活用し、管理会計、キャッシュフロー・マネジメント、経営計画策定、シナリオプランニング、経営の視覚化、経営改善等に活用することができる。

また、適用事例を紹介する。

16:05 佐藤安弘(同志社大学大学院)

経営判断に関する情報の遅れが企業業績に如何に決定的な影響を与えるのか?

-システムダイナミックスによる企業経営のジェネリックモデル分析-

経営の意思決定に関連する様々な情報認知の遅れを含む企業経営のジェネリックモデルを構築した。

製造業の基本要素である生産・販売・開発を含み、売上高や利益だけでなく効率性や安全性も含めて多面的に企業業績を評価出来るよう、財務三表を接続したモデルである。

このモデルに、企業特殊的要素を付加すれば、画期的な経営ツールとして活用できる可能性もある。

今回の報告では、このモデルを用いて、材料相場や競合製品の価格変動状況など市場環境の違いに応じて情報認知スピードを最適化することが如何に重要かを示すとともに、財務における成長性・収益性・効率性・安全性のバランスを経営ポリシーとして全部門に浸透させることが如何に重要かを明らかにする。

16:35 松本憲洋(JSD事務局長・POSY Corp.)

JSDカンファレンス2010 閉会の挨拶

16:45-17:30 2010年度JSD総会