2003年2月28日
JSD研究発表会のご案内
「モデリングによる戦略の仮説・検証プロセス」
国際システムダイナミックス学会日本支部
国際システムダイナミックス学会日本支部(JSD)では、2002年度から研究分科会活動を始めました。それに引き続き今年度から、研究分科会活動の成果をJSD研究発表会の形で報告し、広く皆様からご批判いただくことにしました。初回は、ビジネス・プロセス・ダイナミックス(BPD)研究分科会が中心になって2003年度JSD研究発表会を開催します。
さて、BPD研究分科会では不確実性が高い事業環境の下で、当初の事業計画は環境の変化に合わせて柔軟に変更する必要があると考え、その計画・実践・見直しの過程でシステム・ダイナミックス・モデルによる仮説・検証のプロセスの活用を試行しました。活動に参加したメンバーは企業に所属しているものの個人的なJSD会員がほとんどなので、当研究分科会の活動は出身企業を代表しての活動ではなく個人の立場での活動としています。参加メンバーは自分の所属企業の中で企業の構成員として外部環境の変化に対応して受動的に動くのではなく、内から能動的に自己変革を目指せる組織人になることを目標に研究分科会活動を計画し実行してきました。
初年度の具体的な目標は、企業内で自ら関係する問題解決にSDモデルを構築・活用してそのモデル上で問題解決の仮想経験知を得ることでありましたが現時点ではまだ道半ばです。しかし、このような企業に所属する個人が視覚化を伴う学習を進めることで企業内にゆらぎを与え、それがいずれは次世代の成長に向けた企業組織の変化に結びつく可能性が高いと考えています。
華々しい成果をあげているわけではありませんが、それが逆に多くの企業に働く人々には身近な共感をもってご批判いただけるのではなかろうかと思っています。ご出席いただき討論に加わり興味をお持ちいただけるなら、2003年度のBPD研究分科会の活動に参加していただいて、企業内での自己変革にむけて共に切磋琢磨できることを願っています。(文責:松本憲洋 BPD研究分科会幹事)
期日 :2003年3月19日(水)13時〜17時30分
場所 :中央大学市ヶ谷キャンパス9階会議場
担当分科会 :ビジネス・プロセス・ダイナミックス研究分科会
天野佐寿(株式会社日本総合研究所)、伊藤武志(株式会社ニューチャイノベーション)、
岩澤嘉則(住友生命総合研究所)、魚躬忠則(日本オラクル株式会社)、内山 章(九州電力株式会社)、
榎本哲也(横浜容器工業株式会社)、香月祥太郎(鳥取環境大学)、小林秀徳(中央大学)、
近藤史人(日本HP株式会社)、佐々木登(RSアセット・マネージメント株式会社)、末武 透(朝日監査法人)、
手塚博之(日本HP株式会社)、戸並 隆(株式会社アルゴ21)、松本憲洋(有限会社POSY)、
水内啓介(IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社)、宮本善文(石油公団)、
森岡圭太(SAPジャパン株式会社)、森田道也(学習院大学)、山口庸一(三鍵経営研究所)
参加申込 :以下の情報を jsd_forum@egroups.co.jp までお送り下さい。参加証をお送りします。
なお、参加費は無料です。
名前,e-mailアドレス,所属,〒,住所,電話番号
13:00-13:30 ビジネス・プロセス研究の意義
森田道也(学習院大学)
ビジネス・プロセスの三要素とその相互関係について整理し、企業の将来は学習力によるビジネスプロセスの改革の継続に依存すると説く。
13:30-14:00 意思決定の非ブラックボックス化
宮本善文(石油公団)
Decision Matrix、SD、モンテカルロ・シミュレーションにより意思決定構造と行動を明らかにする。
14:00-14:30 為替リスク管理とSD
岩澤嘉則(住友生命総合研究所)、佐々木登(RSアセットメンージメント)
為替リスクに対する企業戦略は、短期と長期で異なる。戦略と問題点とを整理し、
SDによるモデル化の可能性を探る。
14:30-15:10 特別講演
Complex Eco-economy System
Pawel Bartoszczuk (System Research Ins. of the Polish Academy of Science)
Yoshiteru Nakamori (Japan Advanced Institute of Science and Technology)
収益・汚染・非再生資源に焦点をあてたSDモデルについて、条件を変えたシミュレ-
ションを行った。非再生資源を再生資源に置き換えられる可能性について洞察する。
15:10-15:20 休憩
15:20-15:50 フィードフォワード・フィードバックと経営の関係
内山 章(九州電力株式会社)
経営に制御理論によるフィードフォワードとフィードバックの仕組みを導入した場合の効果について検証する。
15:50-16:20 モデル・ベースト経営
松本憲洋(POSY)
バランスト・スコアカード経営の下で、モデルに基づいて実施する事業戦略立案、中期計画策定、実践、評価、戦略見直しの一連のビジネス・プロセスについて述べる。
16:20-16:50 SDによるリユースとリサイクルの考察
榎本哲也(横浜容器工業株式会社)
ドラム缶の回収体制によりリユースとリサイクルの優位性が変化することに着目し、SDモデルで企業の経営戦略を考察する。
16:50-17:20 企業における定性的要因の及ぼす影響のモデリング
近藤史人(日本ヒューレットパッカード株式会社)
有形資産から無形資産に価値創造の主体が移行し、モチベーションなど定性的指標を合理的に管理する必要性がある。そのためのSDによるモデル化を試みた。
以下の論文は発表者が業務の都合で発表会に出席できないため印刷資料としてのみ配布します。
収録論文 システム思考のモデルをどう活用するか
伊藤武志(ニューチャーネットワークス)
因果ループ図と時系列変化グラフにより明らかにされた課題をどう解決につなげるかを考える。
収録論文 ビジネス・リスクの管理
末武 透(朝日監査法人)
従来、ビジネス・リスク管理ではリスクの構造や関係性に注目していない。SDを使った分析によりリスクの構造や関係性を把握したより適切な管理方法を策定する。
以上